Essay

NISA考:「成長投資枠」というミスリード

AIに、かねての持論をふっかけた。国税庁がNISA枠を個人単位で総管理するなら、もっと柔軟に使わせればいい。つみたて投資枠はSBI証券、成長投資枠はBloomo証券、という具合に、枠ごとに別の金融機関へ置けてもよいだろう、と。

ところがAIは、「二つの枠を統合すべきか」という話を始めた。僕は統合しろとは言っていない。すでに分かれている二つの枠を、別々の証券会社で使わせろと言っただけである。

何度かやり取りしていて、誤読したAIも悪いが、制度の言葉そのものも相当に悪いのではないかと思えてきた。


金融庁の公式資料では、年間投資枠として「つみたて投資枠120万円」と「成長投資枠240万円」が並んでいる。非課税保有限度額は合計1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円の「内数」とされる。

だが、成長投資枠では、つみたて投資枠の対象商品も普通に買える。対象外商品はあるにせよ、こちらのほうが相対的に自由な一般枠である。つみたて投資枠は、商品と買い方に条件を付けた制限枠だ。

制度の実態を素直に書けば、年間240万円の一般投資枠があり、それに長期積立向け商品の追加枠120万円が付く。生涯枠も、一般投資に使えるのは1,200万円までで、残る600万円は長期積立向け商品に限られる。たぶん、これだけの話だ。

ところが「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という名前にすると、つみたてが本体で、成長投資枠は積極的な人だけが使う特別枠のように見える。しかも図では、左右に並べておきながら、途中から片方だけを「内数」にする。並列なのか包含なのか、見せ方まで落ち着かない。

「成長」という語も余計である。成長株を買う必要はないし、投資信託を淡々と積み立ててもよい。むしろ「一般投資枠」と「長期積立追加枠」くらいの名前なら、制度の構造はずっと分かりやすい。


そう整理すれば、金融機関を分ける話も自然になる。低コスト投信やクレカ積立に強い会社へ長期積立枠を置き、個別株や米国株の使い勝手がよい会社へ一般投資枠を置く。国が総枠を名寄せしているなら、その程度の分属は認めてよさそうなものだ。

制度の目的を説明したい気持ちは分かる。ただ、そのための名前が制度の実体を隠しているなら本末転倒である。AIが勝手に話を置き換えたのも困ったものだが、金融庁の言葉遣いも、誤読を誘う側にかなり寄っている。