Essay

僕はいつものキミに会いたいだけなんだ

コンビニで売られている缶のハイボールに、個人的な不満がある。

濃いのである。

アルコール度数が七パーセントくらいの商品が多い。ウイスキーの香りや味をしっかり楽しむ酒として考えれば、それでもよいのかもしれない。しかし、角やトリスのハイボールに、僕はそこまでのものを求めていない。

居酒屋で飲むハイボールは、たいてい大きなグラスに氷がたくさん入っている。最初からそれほど濃くないうえに、飲んでいるあいだにも氷が溶ける。

最初の一口より、少し時間が経って薄まったあたりのほうが、むしろハイボールらしい。

ウイスキーを味わうための酒というより、食事を続け、会話を続け、なんとなく手元に置いておくための酒である。ビールほど腹にたまらず、甘いサワーほど味が強くなく、ウイスキーをそのまま飲むほど構える必要もない。

特に二杯目以降には、ちょうどよい。

そういう飲み物なのだから、缶でも四パーセントくらいでよいと思う。七パーセントは、ほんとうに濃い。


濃いなら氷を入れたグラスに注げばよい、という人もいるかもしれない。

しかし、そもそも、なぜ缶で売っているのか。

氷入りのグラスを用意するなら、初めからウイスキーと炭酸水で作ればよい。濃さも自分で決められるし、おそらくそのほうが安い。

RTDのよさは、冷蔵庫やコンビニから出して、缶を開ければそのまま飲めることにある。グラスも氷も計量もいらない。メーカーが完成させた状態を、そのまま飲めるから意味がある。

氷で薄めて完成する缶ハイボールは、まだ完成していない。


少し前には、アルコール度数の高いストロング系の商品が流行った。手っ取り早く酔えることに需要があったのだと思う。

僕には、その気持ちがあまり分からない。

酒を飲むなら、薄めのものをがぶがぶ飲みながら、酔っぱらいすぎない状態をだらだらと保ちたい。短時間で完成したいのではない。夕食を食べたり、動画を見たり、どうでもよいことを考えたりしながら、長く機嫌よくいたいのである。

一本で強く酔えることより、二本目を開けてもまだ大丈夫なことのほうがありがたい。

その点、レモンサワーには四パーセントや五パーセントの商品がけっこうある。甘くないものも選べるし、特別な低アルコール商品という感じでもなく、普通の日常酒として売られている。

あの考え方を、ハイボールにも接続してほしい。

ただし、「お酒に弱い初心者向け」にはしてほしくない。

酒が飲めないから薄いものを求めているわけではない。むしろ酒が好きだから、飲む時間を短くしたくないのである。

分かりやすい甘さも、華やかな香りも、特別な機能もいらない。無糖で、炭酸が強く、ウイスキーの香りが少しする。アルコール度数は四パーセント。一本目でも三本目でも飲めて、食事の邪魔をせず、飲み飽きない。

初心者のための補助輪ではなく、そういう基本商品がほしい。

おじさんは、酔っぱらいたいわけではない。

薄い酒をたくさん飲みたいのである。

おじさんはワガママなのだ。